怖い話「四十八茶百鼠の村」
四十八茶百鼠の村。
人々は貧しく、ボロ小屋が立ち並ぶこの村。温暖な気候と肥沃な土地にもかかわらず、なぜか豊かになることはなかった。
その理由は、この村の住民たちの性格に問題があったからだ。
他人の幸福が羨ましくてたまらない彼らは、畑が豊かに実ると他人の根を狩り、金が入ると家の物を盗みまくった。
彼らは欲望に忍び寄られると、理性も道徳も捨て去り、ただ自身の欲望を満たすために奔走する。幸せとは無縁の存在だった。
そして、隣村も同様に寂れてしまった。この村の人々が世界に放たれた結果なのか、それともこの国の人々の本質なのかはわからないが、確かなのは、人々が他人の足を引っ張ることが好きだということだ。
この村に幸せが訪れることは、永遠にないだろう。