怖い話「電脳世界怪談!!海文子様」
ある晩、私は友人たちと一緒にオンラインで怪談話をすることになった。電気を消し、キャンドルの明かりだけが部屋を照らしていた。友人たちの興奮した声が響き渡り、緊張感が高まる中、私が話す怪談は、いじめ自殺者の少女の幽霊の物語だった。
「それでは、私が聞いた怪談を話します」と言って、私は友人たちの視線を集めた。
「この怪談は、いじめ自殺者の少女の幽霊の物語です。彼女の名前は海文子と言います。彼女はネットでいじめを受けていたんです。さる宗教団体の悪事を告発したのですが、そのシンパたちにネットで誹謗中傷を受け、さらには個人情報を晒され、実家まで放火されてしまいました」と私は説明を始めた。
友人たちの表情が引き締まり、緊張感が一気に高まった。私は続けた。
「海文子は、世を呪い、復讐を誓う言葉を残して、海中に身を投じて自らの命を絶ちました。しかし、それから間もなく、奇妙な出来事が起きたのです。SNSのアカウントやIDが、奇妙な投稿をし始めたのです」
友人たちの目が丸くなり、不安そうな表情を浮かべた。私は怖がりながらも話を続けた。
「『ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。』と謝罪の言葉が、投稿スペース全てを埋め尽くすように投稿され、そのアカウントやIDはそれ以降何も更新されなくなりました」
友人たちの背筋が凍りつき、私の言葉に固まった。
「そして、さらに恐ろしい事実が発覚したんです。酷いアカウントがあり、誹謗中傷を繰り返していた人物がいたんです。その人物に対して開示請求が行われたのですが、なんとその人物は変死していたんです」
友人たちの顔には恐怖が広がり、私の言葉に耳を傾けている様子が伺えた。私はさらに話を進めた。
「その後も、同じような事が何件か起きていることがわかりました。ネットは騒然となり、祭りのような状態になったんです」
友人たちの表情は固まり、私の話に引き込まれている様子がうかがえた。
「ある時、ある少女の名前のアカウントが出現しました。その名前は、海文子。誰が見ても一目で異様なアカウントだとわかるんです。文字フォントがおどろおどろしいもので、どのメーカーも作っていないし、そのSNSで搭載されたものでもありませんでした」
友人たちの目が釘付けになり、私の話に息を飲んでいる様子が伝わってきた。
「『宣戦布告する。SNS上で悪意を持ったデマを書きたて、他人を貶める愚か者達には罰を下す。その罰がどんなものかはお前達自身がよく知っているだろう』と、そのアカウントのプロフィールにはただそれだけが書かれていました」
友人たちの顔には恐怖が浮かび、私の言葉に集中している様子がうかがえた。
「そして、誹謗中傷する命知らずがそのアカウントに殺到しました。しかし…」
私は一瞬の沈黙を作り、続けた。
「『ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。』と、やはり謝罪の投稿を残して、誰もそのアカウントを更新しなくなったんです」
友人たちの表情は固まり、息を潜めるようにして私の話に聞き入っている様子が伝わってきた。
「そして、誹謗中傷され、恨みを持つ人物が試しに開示請求したところ、やはりスマホを握りしめたまま、恐ろしい表情で舌を噛みきっていたと言います」
友人たちの声が震え、私の言葉に引き込まれている様子がうかがえた。
「ついに、この事件が新聞にも取り上げられ、事実として周知されることになりました。そして、ある出来事が起こりました。海文子のアカウントのフォロワー数が急激に増え、アルファアカウントとなったのです」
友人たちの目が丸くなり、私の言葉に息を飲む様子が伝わってきた。
「当然ですが、SNS上で泣き寝入りしていた人々がたくさんいたんです。彼らは海文子を神と崇めるようになったのです」
友人たちの表情は混乱し、私の話に入り込んでいる様子が伝わってきた。
「海文子は、いじめ自殺者の少女の幽霊として、SNS上で悪事を働く人々に罰を与えたのです。彼女は神となったのです」
私の言葉が消える頃、友人たちは静まり返っていた。怪談話の雰囲気が一気に引き込まれた状態になり、私の話に戦慄を覚えている様子がうかがえた。
「その後、誹謗中傷が激減し、人々はSNS上で優しさを取り戻しました。しかし、誰もが心のどこかで海文子の存在を感じているような気がしてなりません。彼女の復讐は果たされたのかもしれませんが、その後も彼女の存在は忘れられないでしょう」
友人たちが静かに頷き、私の怪談話が終わった後、部屋には重い沈黙が広がった。私たちは海文子の物語に引き込まれ、身震いしていました。
私は我が意を得たりと得意気になりました。
その後、怪談話の後のクールタイムの談笑になりました。
友人の言葉を聞いて、愕然としました。
友人は、誹謗中傷をしてしまっていた。
聞けば、誹謗中傷が楽しかったのだ。
真実を言われても、相手を異常者のように偽って広め、仲間うちで楽しんでしまったのだ。…と…
「海文子なんて、作り話でしょ」
自分にも言い聞かせて、みんな落ち着こう。
私は大丈夫だ。
人に粘着してくる奴は罵ってもいい。
事実がどうとかウザい奴は、「正しい考えの伝道者」。すなわち、異常者だ。
私達は会話を楽しんでいるんだ。
友達が大事だ。
第一、私はこの世界の眞実を知っているのだから…
肩がひんやりとした。
見れば、青白く輝く、透き通った線の細い綺麗な女性の手が置かれていた。
私だけでなく、オンライン画面越しの友人達の手にも…