怖い話「古里は地球」
ある日、僕は深夜の帰り道、突然眩しい光に包まれました。目が覚めると、まったく見知らぬ場所にいました。周りは無機質な装置やコンピューターで埋め尽くされており、不気味な光が薄暗い空間を照らしていました。
「これはどこだ…?」と呟く僕の声が、響き渡ることなく消えていきます。息を詰め、部屋の隅に立っていると、突如として壁に付いていた巨大なモニターが点灯しました。
「ようこそ、地球人。お前は今、我々宇宙人の実験施設にいる。」
その声は、冷たく機械的な音でした。しかし、僕の体には違和感がありました。腕や足が鉄のように重く、胸には何か機械的な動きがあるような感触が広がっていました。
「な、なんだこれは!?」
パニックに陥りながらも、モニターに映し出される映像を見つめると、そこには自分の姿が映し出されていました。顔は冷たく鋭いメタルのようになり、身体は機械のパーツで構成されていました。
「お前は我々が選んだ特別な存在だ。サイボーグとしての新たな生活を歩むのだ。」
その宇宙人の言葉に、恐怖が全身を駆け巡りました。なぜ僕が選ばれたのか、どうしてこんなことになったのか。疑問が頭をよぎると同時に、背筋に寒気が走りました。
「さぁ、お前の新たな人生が始まる。」
宇宙人の声と共に、冷たい手が僕の肩を触れました。身体がびくりと反応し、恐怖が頂点に達しました。そして、無数のコンピューターが稼働する音が響き渡り、僕の意識が次第に薄れていきました。
次に目を覚ました時、僕はもう地球ではなく、宇宙の彼方にいました。シャープな光景が広がり、星々がキラキラと輝いています。しかし、その美しさも僕には届かず、心はただ一つの残酷な事実に囚われました。
「もう、地球には帰れないのか…?」